井ノ上タワー
ルート解説
正 面 壁
(1)南天:5.9+B5 道路から10㍍、北東の鬼門除けに南天が自生。
(2)ちょっくら:5.10−B4★★ 初心者向けガバ系だが、上部に核心あり。
(3)ストレートティー:5.11−B7★小ポケットが見えにくい。右の小コルネは使わない。
(4)なめくじら:5.10nB8★★ やさしい下部から、ナメクジ状コルネへ続く。
(5)よし!登ろう:5.11−B10★★★ きれいなカンテから垂壁への持久系。
(6)三四郎:5.12−B10★★ アンダーの連続から中間部の細かい処理が核心、上部は白い垂壁。
(7)ドロマイト:5.13-B8 ⑥の右派生ルートで中央部を登る。うす被りに遠い小ホールドが続く。
(8)ロコモ・シンドローム:5.11nB9★★★ 小ハング上は「山河山頭火」に接近しているが、連続するポケットを使う。
(9)山河山頭火:5.11−B10★★ 黄線外は禁止。振り返れば山河が見える。
川面上部壁
(10)さざれ石:5.10+B5 さざれ石ホールドは手に優しいが・・。
(11)原始:5.12−B4 洞窟の端からフェースに出る。ややランナウトする。
(12)ヤンキー:5.11−B5★★ 大ぶりなホールドをたどるが、結構被っている。
(13)つばめ:5.11+B6★★★ 見た目よりガバでない。
(14)螺(ら)髪伝(はつでん):5.12−B5★★ ホールドが細かくなる中間部からが核心。右に逃げすぎないこと。
(15)2010:5.10nB4 一番奥のライン、小穴から登り出てボルト通しに。
川面下部壁
(16)みつまたの花:5.11−B6★★★ 連続するコルネを辿る。
(17)庚申さま:5.11nB5★★★ ガバが連続し快適。上部は意外と被っている。
(18)猿田彦:5.11−B5★ ⑰の派生ルートで登り易い。
(19)野びわ:5.12−B4★ 上部はボルトに沿い右上する。最後が核心。
(20)人三猿七(ひとさんさるしち):5.12nB4★★ 左のコルネへ移り左上する。最後は⑲と同じ。ビレイ位置注意。
(21)鎧(よろい):5.12c以上B3 ボルダー。ビレイ位置注意。
(22)にっ○ん セレナ:5.8B7 河原の降り口にある。子供・初心者向け。
(23)と○た ノア :5.10−B6★ 上部が核心。右の脆いフレークには行かないこと。
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本匠「新エリア 井ノ上タワー」の開拓整備
大分県山岳連盟 吉野眞治
本匠「井ノ上タワー」は、魚道エリアの上流300mに位置し、平成21年6月に開通した新しい橋のたもとのエリアを指す。道を挟んだ杉林の中には、猪鹿ロックがあり、アプローチは極めて恵まれている。
昭和58年発刊の「本匠村史」によれば、この岩塔は“ロウソクをたてたような岩峰で頂上に石鎚神社の祠を勧請している”と記載されている。井ノ上集落で聞くと石鎚山と呼ぶそうだ。確かに、太いロウソクのように見えなくはない。が、ロウソク岩ではさびしげで、石鎚山では四国の山名のようであるので、集落名と併せ「井ノ上タワーエリア」と名づけた。
新しい道路の工事が進んだ平成21年2月、いちめん蔦に覆われた川上側の岩壁を調べてみると、蔦の隙間から部分的に見える岩は、クライミングエリアとしての条件をほぼ満たしており、道路からの近さは、なんと言っても魅力であった。
さっそく、村役場を訪ね、地権者確認と事前折衝をお願いし、挨拶に伺い、使用許可をいただいた。
開拓は、緑の蔦剥がしや雑木片付けから始まった。
週末を出来るだけ割いて通ったが、寄る年波のせいか、暑い時期になると作業は、遅々としたものになっていった。仕方のないことであろう。
秋風が吹き渡り、涼しさを感じられる季節になると全体整備に加え、試登も始めたので、完成の目処がなんとかたってきた。しかし、上部がほぼ仕上がった11月、それまでに注意を払わなかった下部壁を懸垂調査してみると、硬いコルネの続くハングが蔦の下にあることが分かり、また新たな楽しみにとらわれ、下部の整備を始めた。
本匠は、地苔類をはじめ植物の繁茂が旺盛な西南暖地であるために、岩掃除や下地の整備に手間がかかり一年間を要したが、後半には大勢の手助けをいただき、なんとか完成することが出来た。
正面壁は午後から陽が差す。川面壁上部は、風が当たらず冬暖かい。川面壁下部は、平らな広い河原で池もあり水辺が近い。
ルート数は、正面フェース9本・川面上部ハング6本・川面下部8本の合計23本である。グレードは、10〜11台が中心で初中級者向けが多い。上級者向けのルートは数本ある。
ルート間隔にやや狭いところがあるが、不自然さは感じないであろう。
ボルトは、グージョン・カットアンカー・ケミカルを併用している。終了点は、多くをFixe社製のリングステーションにした。
使用にあたっての注意事項
安全上の注意点
1. 浮石は落としたが岩質上、まだ欠けるものもある。登る人・下にいる人、共に注意のこと。
2. 川面上部のテラスは、下に切れている。広さはあるが、ビレイヤーは必ずセルフビレイをとること。下降する際に、クライマーはテラスの端まではみ出る。石を落としてはならない。
3. 川面下部の庚申塔の上部付近は、岩が脆いので立ち入り禁止。
4. 川面下部は、中段にテラスがある。ビレイは注意のこと。
5. 川面下部の一番奥のルートへのアプローチは、奥の林からフィックスを辿るが、足元が脆いので注意のこと。
6. 1本目のボルト位置が、やや高いものがある。
7. 他のエリア同様、終了点のネジの緩みはチェックすること。
8. 事故の無いように、自己責任で登ること。
駐車及びトイレ使用についての注意点
1.岩場近くの路肩に、数台の駐車スペースがあるが、満車の際は魚道付近に止め、歩いて橋を渡って来ること。
2.路上駐車はしないこと。
3.トイレは、200m上流の消防団詰め所にある。感謝してきれいに使うこと。
岩場を使わせていただいている本匠村での注意点
1.村の人に、挨拶をすること。
2.ゴミは持ち帰ること。
3.本匠村の名産は、お茶と蕎麦、椎茸。味わってください。
庚申塔について
庚申塔は、江戸時代に広まり明治以降に急速に衰退した民間信仰の守庚申(庚申講)を記念して、道路脇等に置かれた記念塔である。塔には、講参加者の名が彫られているものも多くあり、墓碑や神塔の類ではない。川面下部の庚申塔には、寛文11年(1671年)が読み取られ、本匠最古である。この河原は、明治33年に対岸中壁に道路が完遂するまで、地域の主要な交通路だったようである。昔人過客は、この岩を見上げながら通り過ぎたことであろう。
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