4. 礁渓温泉

 外国旅行と温泉は前回の「[韓国紀行3]扶余の春」、前々回の「[韓国紀行2]釜山と慶州」以降の継承だが、八重山諸島西表島にも温泉がありその続きの台湾にも行くべき温泉は多い。台北市内の新北投、宜蘭の礁渓、西部嘉義に近い関子嶺、南端近くの四重渓が四大温泉らしい。今回は列車による小旅行と駅からの近さで礁渓温泉を選択。たくさん宿泊施設があるし平日なら飛込みで何とかなると行き当たりばったり。列車から降り月台(ホーム)でベビーカーに乗せると寝ていた佑滋が起きてもっと列車を見ると主張し地下道へ降ろさせないが台北と違って直ぐ次の列車が来るわけでなく出口に向かう。日本より高い仕切りがある出口の駅員に切符を渡し、外から駅舎を振り返ると礁渓車站の表示左側におなじみの温泉マーク、屋根中央には国旗が翻る。韓国では温泉マークは旅館を示し温泉を意味しないがここでは日本と同じ意味。まさか駅が旅館ではない。駅前ロータリー上に温泉水が湧き出し流れ、裸足になると足湯ができる屋根つきで細長い施設がある。正面四つ角右にセブンイレブン、左にFamily Mart。セブンイレブンでお茶・水・ヨーグルトなどを購入126元。日本で集めたパンフレットと基隆のお菓子屋と同じ資料に「師王大飯店(Baronユs Hotel)」があり列車からも見えて線路沿いに500m程戻る。途中にも何軒も食堂や温泉施設が並ぶ。日式しゃぶしゃぶ店もある。「師王大飯店」の隣には道路に面し「天都大飯店」。信号を渡りロビーに入ると、3人フロントの内側にいてそのうちの1人の若い女性が英語で話しかけので今度は英語。電卓を出し定価4600元を3割引で3220元、端数の220元は受け取らず3000元で朝食つきという条件だが妻が部屋も見たいと言うので、メCan I see the room? モ メYes.モ でエレベーターで7階に。部屋はダブルベッド2つで室内バスも温泉水、屋内浴場と露天風呂も利用できるが露天風呂は水着着用。1階に戻りパスポートを出しクレジットカード決済するとカードキーと朝食券4枚受領。帰国後カード請求書で確認すると10,319円。カードキーを扉の横に挿すと室内点灯。まず佑滋が喜ぶヨーグルトを食べ、備えつきのペットボトル飲料水でお茶を用意し母と2人で浴場を見に行く。外側に10元入れると使用できるコインロッカーがつき、液体石鹸とシャンプーは備えつきでボタンを押すと出てくる。露天風呂は更衣室つき。
 せっかく来たのでまず入浴と1階の屋内浴場へ。水温42.5℃とデジタル表示。透明のお湯だがナトリウムが多く含まれ肌が滑らかに。今度は交替し3人が入浴。窓から見える海と線路。風呂から上がると夕食だが、部屋で休みたいのでコンビニ弁当でも買ってきてと言われ、駅前のセブンイレブンに行くと日本と余り変わらずもう一つ。Family Martも一瞬考えたが大差ない。そこで駅前通りの弁当屋を眺め、先客の様子を観察。コンビニと同値段でスープに鶏や排骨(豚肉)の揚げ物つきの「池上弁当」を販売。客の切れ目がなく奥で食事中の客もいる。池上は東海岸台東近くの米どころで福隆以上に駅弁が有名。写真を指差し注文、鶏腿飯75元・排骨飯65元・ご飯が豆入りで赤く、揚げ物なしの養生飯60元で200元。帰りにセブンイレブンで台湾ビール3本123元・ポテトチップス20元・水16元・マスカットジュース25元合計184元を購入。帰ると待ち時間が長く、ちょっと心配してようだが説明して夕食。弁当はご飯の上におかずがたくさんのり、半分に切った茶色く煮たゆで卵に揚げ物も美味しい。
母はもう一度入浴。漢字字幕の台湾ドラマを見る。多民族多言語の台湾では総人口2250万人のうち人口比10%強の?外省人が使用し国語と言われる教育言語の北京語・16世紀に福建省から移住した人口比75%の?本省人の台湾語(_南語)・続いて移住した人口比13%の?客家の客家語放送があり、オーストロネシア(南島)語族に属し人口比2%の?原住民放送も開局されるらしい。ただ多様な状況では最大16万人のアミ語が主に使われることになるのだろうか。
台湾語は北京語の反り舌発音がないため滑らかで耳に聞こえやすいが、声調が北京語の4つに比べて7つあり、多音節語やフレーズではそれが転調し、早口になると何を言うかわかりにくい。日本語漢字音に近く発音しやすい有利な点もあるが聞き取り発音は容易ではない。また漢字音は文語と白話(口語)の2種類あり原則1音の韓国語より難しい。また原住民言語由来等の理由により該当漢字がなく音声だけの言葉もある。台湾語学習書ではローマ字で埋める場合と「あて漢字」を使用する場合があるが統一性がない。国民党統治下での台湾語使用禁止等の抑圧政策により1842年阿片戦争後の中国でキリスト教布教時に宣教師により開発され150年以上の歴史に文献辞典も揃う教会ローマ字と日本統治時代に研究刊行された台湾総督府の『日台大辞典』や『台日大辞典』に当時の様々な語学書が今日も有効である所以だろう。ただ今回のようにわかりにくいと日本語や英語に筆談を安易に使う姿勢に反映。今日は移動で疲れたのか直ぐに眠ってしまう。
 翌朝は6:30に沖合いの亀山島方向から朝日が昇る。8時に地階食堂で朝食。パンにコーヒー・オレンジジュースの洋式とお粥に甘い豆乳に台湾式おかずを選択できる自助餐(バイキング)形式。お粥に豆乳は美味しいがコーヒーの味はいまひとつ。台湾でもフィリピン同様にコーヒーが栽培され販売されているはずだが美味しく点てるにはこだわりが必要か。ただ台湾のコーヒーはインスタント中心だったフィリピンとは違う。
9時前に部屋に戻ると元気な佑滋はすでにチェックアウトした隣の部屋へ入ったり色々と移動。部屋の窓からは礁渓駅を発車する列車が見え時刻表で調べてビデオ撮影。これも文明の尺度である定時運行(台湾では準點という)で予定通り撮影。露天風呂は9時までで部屋のバス(これも温泉水)に佑滋を入れて10:15チェックアウト。
駅で台北まで3枚全票(大人切符)を買うと、次の10:34発自強号で1枚座席が取れすぐに乗車@205元。残り2枚は無座。この自強号は東海岸南部の台東を6:19発の台北経由樹林行き、東部幹線は東海岸中部の花蓮までが電化区間で当然電車でなく、外吊り自動扉の日本車輛製ディーゼル車。座席には母が座り膝の上で佑滋がご機嫌でお菓子を食べる。満席だが車内通路での立ち客はなく、先客同様に妻と2人でデッキから明るい車窓を眺める。車内検札の他に昨日の_光号でなかった弁当車内販売も通る。基隆分岐駅の八堵を過ぎるともう1つ席が空き、妻も車内で座ると佑滋が歩いて移動。列車本数が増え通過する途中駅では後続の普通電車を待つ乗客が多い。

5. 民主・和平・護台湾

 台北到着は12:02の準點、大多数の乗客が下車し列車は車庫のある樹林へ向かう。日本より少し暗いホームには次から次に列車が到着、佑滋が喜び色々とビデオ撮影。ここでは駅員が黄色いシャツを着ているのが面白い。土曜日のせいか駅の雰囲気も明るい。ただホーム以外には照明がなく反射する明るさがない。地下1階出口で集札の際、係員がスタンプ印を持ち指差すと切符に押して証明用に持ち帰り可能。新光三越前のエレベーターで地上に上がるとライオン像がお出迎え。こちらから華華大飯店のある漢口街に入ると歩道が広く食堂がなく通りにより感じが違う。預けた荷物を回収し13時チェックイン。明日の朝食代わりのコンビニ弁当を相談し4:30にモーニングコール依頼。今度の部屋は715号、ダブルベッド2つ、椅子が3つにテーブルもついて広くなる。台湾のホテルは韓国と違い洗面用品完備。勿論韓国の場合は政策的で、政策といえば台湾も韓国もコンビニ袋は有料になっている。
 バスで昼食に出るため3人分の料金45元を確認してから台北車站前に。台北ではMRTとバスに共通して使え割引があり金額チャージ可能なICカード利用者が多い。現金利用者は少なく運賃箱には日本同様の両替機能はなく単なる箱。すぐに22番バス到着。「下車収票」の表示があり後扉から乗車し前扉から下車時に料金を支払うのは昨日の「上車収票」の基隆客運と違う。基隆の場合は距離が長く途中で運賃が変わるためか。ただ日本では運賃が変わる場合は乗車時の申告でなく整理券式の運賃表示機があり下車時の支払いが多い。台湾のバスには当然整理券式の運賃表示機などはなく運転手の記憶か信頼関係となのだろうか。昨日同様車内では音楽やラジオ放送が流れ運転席横には大きなペットボトル立てがあり、停車時に薬を飲んだり運転手は自分の車感覚で運転。車内には次の停留所を示す電光表示板もあるが車内放送は特にない。このあたりはバス会社次第らしい。『わがまま歩き台湾』には、市内地図に主要バス路線図が記載され便利。ただ路線は前述の空港バスのように変更されうるので確認が必要。地下鉄移動では途中の様子がわからず、バスの方がMRTより最低料金で5元安い。台北の街路は台北車站前で東西南北に交差する忠孝東路・西路、中山北路・南路が基準となり他の街路名にも同様に東西南北がつく場合がある。名称は?中山(孫文)・中正(_介石)・羅斯福(ルーズベルト)のような人名由来。中山と中正はどの町にもある。次に?南京・重慶・漢口・西蔵・昆明・抗州・基隆のように地名由来。大陸の地名が多く使われていることに注意。最後が?仁愛・信義・忠孝・和平・民族・民生・民権・復興など儒教道徳や三民主義・政治用語が使われる場合。命名の感覚がうかがわれる。
 バスは忠孝東路を一段進み善導寺で右折し林森南路を南下。母は「博愛席」に着席。突き当りが塀に囲まれその向こうに大理石の白壁と青い瓦屋根が見える中正紀念堂、_介石死後の1980年完成で当時は息子の_経国政権。「中華民国」国旗である「青天白日満地紅旗」の左上角にあり「中国国民党」を示す「青天白日」を表現。左折して信義路を東へ進む。そのまま紀念堂地下を通過し反対側に抜ける車線もある。金山南路と交差して次が信義永康街口でボタンを押すと停車。ここまで約10分。バス停は路面電車の停留所のように道路の中に島上に配置され、車道を横切り歩道に出る。歩道沿いにバスが進まないので駐車車両の影響がなくバスの流れが良い。歩道沿いはたくさん機車(二輪バイク)が駐車し動きにくい。
日本統治時代は日本人居住区だった永康街は、戦後外省人が多く住んだ背景があり大陸由来の食文化を反映した飲食店が多い。歩道に出た所に上海料理の小籠包で有名な「鼎泰豊」本店で入店待ちの人が多い。空港以来久しぶりに見る日本人。南に永康街へ入るとこれも上海料理で有名な「永康街高記」、少し進むと「群香品」の看板が車道にはみ出す。ここに入店すると空いている。簡単な日本語説明つきのメニューを指差して注文。蝦仁蛋炒飯(エヒ゛チャーハン)120元はすぐ来て、鶏湯(スーフ゜)120元と川味牛肉麺(四川風)100元が続く。小籠包120元・菜肉餃(野菜入り)120元・小籠蝦餃180元は三段重ねのセイロで登場。鶏もスープも美味しく、牛肉麺は塩辛くしつこくなく、皮が破れて肉汁が出ないように小籠包を食べるのは金魚すくいの感じ。少し食べると佑滋は床をうろうろするが客が少ないのが幸い。これで帰りたくないので小籠包1つと佑滋用の餡饅頭80元を追加注文。あんまんは日本と変わらない味だが佑滋は1個まるまる食べる。ネットの「台北ナビ」で取った10%サービス券を出して859元。入口の所では小籠包を流れ作業で仕込中。バス停まで引き返す途中で母がおみやげ用にアクセサリーを交渉して購入。饒河街観光夜市の方が安いらしい。
ここで15:10、帰りは台北車站前を通るバス番号を掲示の路線図で探す。行きに使った22番は出たところで、他には経路が違う信義幹線のバスも通るらしい。違う通りを見られればうれしい。台湾のバスは乗客が待てば停留所で必ず停まるのでなく手を振って乗車意志を運転手に示す必要がある。というわけで最初のバスはやり過ごす。次の深いピンク色の大有巴士(air bus)が信義幹線、幹線とは将来のMRT予定線上を走るバスを示す。ここにMRTが通ると確かに便利。でもバスを探す楽しみもある。真ん中から乗り後部座席着席。中正紀念堂角まで戻るとこの先は、政府主催の3.26中国反分裂法反対100万人デモに阻まれて抗州南路へ迂回。次の仁愛路でもデモが行く手の先を埋める。マスコミや警備の車も多い。15:30頃から総統府前の大通り「凱達格蘭大道」に市内各所からスタートしたデモが集結し交通渋滞が発生。バスの女性運転手が前で何事か叫ぶ。多分予定経路が通れないと言うのだろう。何人か乗客が下車。しばらく渋滞待ちのあと忠孝東路まで北上し台北車站へ@15元。迂回の影響であまり行程変化なし。ここでもデモの人並みが旗やら何やら持って総統府へ進む中を通り抜ける。行進は組織的だが緊迫感はなくのんびりぞろぞろ台湾ペース。新光三越前で3人と別れ1人で書店を探すが目的が果たせずホテルへ戻る。母もお土産探しに免税店に行きたいらしい。まず歩く距離が少なく書店も近い「昇恒昌EVERRICH DUTY FREE SHOP」へ向かう。妻と佑滋はホテルで留守番。
台北車站まで戻るとデモは去り、地下道に降りる階段で「Democracy Peace民主・和平・護台湾」と「小枝と台湾の形」が緑色で描かれた縦20cm横30cmの旗の布部分が落ちていたので記念に拾う。緑色は与党民進党のシンボルカラーで野党国民党は青。16:00にMRT台北車站から板南線乗車、台北車站は東西に走る板南線と南北に走る淡水線の交差駅で相互あるいは台鉄に乗り換える乗降客が多く混雑。3駅で忠孝復興で木柵線乗り換え。木柵線はフランス製無人運転の新交通で復興北路を高架線で北上。2駅で終点の中山国中到着、ここまで20分で@20元。国中は日本でいう中学校で高校は高中。左折して民権東路側から地下に下る入口がある。
台北の免税店は台湾資本のEVERRICHの他に日本にもあるDFSが中山北路、昌華酒店(Grand Formosa Regent Taipei)地下にある。どちらもホテルから無料通話で連絡すると迎えに来てもらえ、わざわざMRTで来る必要はないらしい。ワンフロアで中は広くゆったり。3日ぶりに日本語を聞く。鳳梨酥(パイナップルケーキ)を見ると「いかがですか」と店員が寄ってきたので基隆で買ったと返事。母は孫たちにバックや帽子を選ぶ。店員に入店カードは?と聞かれるがツアーでないともらえないらしい。パスポートを掲示し帰りの日時と便名を確認するとその場で発行して買物はそのまま持ち帰り。おもちゃは輸入品ばかりで佑滋お気に入りの自強号や国光バスがなく、「あれば買うのに」と残念。そういえばマニラでは小型乗合車のジープニムのおもちゃを売っていた。17:20に帰りがけ4階建ての三民書店を見つけ期待して探すがないのでMRTで忠孝復興までもどり、さらに1駅忠孝敦化まで進む@20元。南へ敦化南路を進んだ所が大型書店である誠品書店の旗艦店(本店)、マニラの前のハワイ以降、出かけた先で当地のLonely planetを探して購入するのが習慣になる。あの頃は日本語翻訳版がなかったが英語で読むのにまた意味がある。Taiwanは910元、他に『生活台語会話』150元を購入。店内は品揃え豊富でじっくり座って「立ち読み」している若者が多くちょっと本が取りにくい。18時には帰る予定だったが少し遅れて18:00忠孝敦化発@20元で台北車站へ。華華大飯店前のFamily Martで台湾味ポテトチップス20元、ヨーグルトが28元と29元、豆乳15元、水16元、台湾ビール41元2本で190元。戻ると佑滋がなかなか眠らず大変だったらしい。ひとまず入浴休憩。でTVを見ると今日のデモの様子を放送。総統府前の集会で歌う陳水扁総統、李登輝前総統もデモに参加。一方デモには参加せず中部台中に揃って出かけた第一野党の国民党3首脳。他には台湾から帰国する「白的巨塔」の唐澤達明なども放映、昨日の放送では入国後台北での記者会見の模様だったのでかなり忙しそう。

6. 台北の先

20時過ぎに佑滋が起きたので、気分転換にベビーカーに乗せ妻と3人で西側に進む。夜に普通に出歩ける国は珍しくその点でも台湾は文明国と言える。道路向かい側に華華大飯店別館、漢口街から重慶南路を北上し開封街との角に饒河街観光夜市で買った胡椒餅の支店があるがこちらは別に行列なし。予備校である補習班、書店や安ホテルである旅社が多い。国光客運・台北西站向かいの忠孝西路まで出ると角が消防署、佑滋は消防車が見られて満足の様子。そのまま東に進むと22:00まで営業の新光三越で地下1階がフードコート。1個35元のおにぎりを3個頼むと1個さらにおまけ。地下2階に降りるとセルフの食品売り場で台湾バナナ30元、韓国から輸入のチューブ式のコチュジャン130元、瓶入りの豆醤65元。お茶も色々売っているが台湾元の残金が少なく買えない。空港バスの料金3人分360元を残せばよいが。21時すぎにまたFamily Martで台湾ビール41元2本と佑滋のお気に入りのヨーグルト28元。店内にはチャゲ&飛鳥のSay Yesが鳴っている。ホテルの部屋で夕食。結構厳しい日程だが佑滋は元気だったのはよいが、天気に恵まれ全日行動で観光名所にもほとんど行かない旅行のせいか、母の風邪は治らず大分負担をかけてしまった。明日の用意をして23時過ぎに電気を消しても佑滋は眠らず手がかかる。
3月27日翌朝は予定通り4:30に腕時計アラームが鳴り、続いてすぐにモーニングコール。荷造りをして5:30チェックアウト、Family Martの袋入り朝食セットを4つもらう。中にはおにぎり1個にメロンパン1個、葡萄ジュース入り。カードで決済しようとすると読み取りできず、代わりに妻のカードを使用。帰国後に請求書で確認すると9631円。24日の分がHISの決済で10,900円なので部屋のグレードが上がり朝食つきになった分を考慮すると台北で直接予約した方が2000円は安いという計算になるか。ちなみに全部の支出を合計すると28万円くらいになった。1人あたりにすると7万円というところ。
今日も晴、国光客運・台北東站に向かう食堂街では朝食の仕込みが始まっていた。地下街へはまだ降りられず消防署前の横断歩道で忠孝西路を横断。切符売場で中正機場まで@120元。運行経路を確認すると第1ターミナル経由で終点がエバー航空の第2ターミナル。ベビーカーはバス座席の下に入れる。かなり乗客の多いバスは5:45発で淡水河を渡り高速道路を空港へ。途中から夜も白み始める。空港までは順調に50分で到着。搭乗手続きは3階へ斜高式の動く歩道で上がる。帰りは搭乗ゲートまでベビーカー使用可能。佑滋を乗せて2人でX線検査、出国審査と進む。係官は身を乗り出し佑滋を確認してスタンプを押す。ここまでで7:30、妻は紙おむつが足りないので関西空港同様にキッズルームでもらえないか聞きに行くがだめ。並んでいる免税店で妻と母は買い漏らしお土産を探しに行く。佑滋は子供用スペースの滑り台で時間待ち。滑り台の後は砂場に行きたいらしいが屋内なのでそれは無理。代わりに第1ターミナルと第2ターミナルを結ぶシャトルのスカイレールが4分おきに通るのを眺めて過ごす。案内放送が入らず静かな感じが良いが8時過ぎからは入り始める。ゲートで搭乗予定のエアバスを眺める。8:30過ぎに少し遅れてBR2132便の搭乗開始。問題の紙おむつは機内でもらえるが、帰り佑滋は満席のせいかそれほどうろうろせず、乱気流にあっても割合大丈夫だっただろう。着陸時にもウンチをせず最悪の事態は回避。帰りの飛行機でビールを頼むと「キリン?」と聞いてきたので「台湾ビール」を所望。これでしばらくこのビールもお預け。機内は満席で4人席は機体中央、どこを飛んでいるかわからないうちに11:55無事に関西空港着陸。
帰りはベビーカーが出口渡しになっていないと係員が言うので佑滋の手を引き、重たい荷物を持ってゆっくり進む。妻がトイレに行くとかなりの混雑で待ち時間を入国審査場行きシャトル乗り場で発着を佑滋と眺めて過ごす。乗り物さえあれば文句はないのは助かる。入国審査は日本人・再入国側はほとんど行列なくすぐに通過。外国人側は長い行列。台湾を午前に出る便なので台湾人の利用が多いのだろう。HISでは土曜日到着便を最初あたったが早々に満席で、1日遅らせた旅行だったが全員無事に帰国できて一安心。ただし@4000円余計にかかってしまった。預け荷物になったベビーカーはすぐに出てきて税関も4人揃うとノーチェック通過。関西空港は開港10周年のイベント中で賑やか。駅で美山台に電話すると、佑滋の従兄の喬碩くんが東京から来ていて帰っても佑滋はお楽しみが続きそう。JRホームに降りると、「特急はるか」が出発でこれもビデオ撮影。帰りも関空快速。少し疲れたのか大阪近くまで眠り、大阪で京橋経由香里園へ帰る母と別れる。ご苦労さまでした。大阪からは日曜日なのでチケット屋で買った@200円のJRの特割回数券が終日使える。普通新三田行きで川西池田へ。何と言ってよいのかわからないのが4月25日9:20にこの区間の尼崎と塚口間で大惨事が発生したことで薄氷は遠くにあるとは限らない。JRは途中駅が少なくて速く普通でも阪急の急行並みの時間で着くが、能勢電鉄乗り換えの川西能勢口駅まで陸橋が長い。次は山下で日生中央行き連絡の妙見口行きで、乗り換えでまた少し疲れるがここまで来れば一安心。
一体台北の先はどこなのか。自宅のある出発点の日生中央に戻るだけという答え方もできるが、さらに台湾を追求し台湾高鉄(新幹線)それとも阿里山森林鉄路?今回行けずの台湾東部や中南部からフィリピン国境のバシー海峡を目指す?それとも韓国KTX(新幹線)、という続き方も考えられる。台湾は日本統治時代の痕跡も残るが大陸の影はさらに濃く、また平和と自由と独立を求める意志も強い。いずれにせよこれからの日本と大きな関わりをもつことになるだろう。台北で北京語学習の必要性を感じたのは、台湾語が全然といってよいほど使えなかったためかもしれないが、だからこそ台湾語の方をもっと勉強すべきかもしれない。勿論現住民について全くわからないままなのは問題だろう。日本より急峻な台湾の山岳や故宮博物院なども完全にそのままで全部宿題状態とも言える。
美山台の実家で喬碩くんも交えて撮影したビデオで旅行を振り返ると異国でも驚くほど元気な佑滋の姿。ここをまた次の出発点としたいものである。

(参考文献)
1.『台湾鉄路千公里』宮脇俊三、角川書店1980
 25年前、戒厳令下の台湾の鉄道風景を描写し現在と比較すると興味深い。
2.『台湾の鉄道』徳田耕一、日本交通公社出版事業局1996
 沿革や車両説明が詳しい。切符や戦前のスタンプ収集も興味深い。
3.『台湾一周鉄道の旅』結解喜幸、光人社2002
 空港バスや華華大飯店の記述もある。夜市が楽しそうで印象的。
4.『ワールドカルチャーガイド?台湾』、トラベルジャーナル2000
 台湾文化の変動と多様性を様々な記事から示唆。
5.『台湾語会話第二版』樋口靖、東方書店2000
 台湾文化への入門的記述も多く参考となる語学書。
6.『わがまま歩き台湾改訂初版』、実業之日本社2004
 わかりやすい記述と丁寧な説明。バス路線つき台北市内地図は便利。
7.『事典昭和戦前期の日本 制度と実態』百瀬孝、吉川弘文館1990
 日本の植民地統治についても簡明な解説。
8.『台湾鉄路旅客列車時刻表』、交通部台湾鉄路管理局2005
 台湾の鉄道旅行には必携。コンパクトで実用的。
9.『哈日杏子の日本中毒』哈日杏子・小島早依訳、小学館2001
 ちょっと大げさな記述もあるが、韓国とは違う鏡を見る思いもある。 
10.『台湾論』小林よしのり、小学館2000
 著者が[入境禁止]となった問題の本だが、歴史記述はわかりやすい。
11. Taiwan Lonely Planet Publication Pty Ltd 2004
 6と比較すると、見る本でなく読む本の印象が強い。


一つ前のページに戻る |