2001 北岳&甲斐駒ヶ岳







                                 長友敬一

北岳バットレス

 8/8(水)長友敬一(九大山岳会)・原口政則(無所属)・徳永悦子(福岡山の会)・福村浩子(福岡山の会)、福岡出発。新幹線で新大阪−急行ちくまで塩尻−普通で甲府へ。夜行では各自睡眠を採るのに工夫と苦労をしていた。

 8/9(木)入山。甲府駅で吉野屋の牛丼を急いでかき込み、バスで広河原へ(10:33発)。




大樺沢を、拾った枝を杖にしたりしてボッカ3時間半で白根御池小屋(14:10着)。池の畔で幕営している木下(久留米大山岳部OB)・安部(九大山岳会)パーティーに会う。前日入山するも天気が悪かったため、取り付きの確認のみでまだ攀っておらず、タイムリミットは明日までとのこと。徳永・福村で幕営と食事の準備、長友・原口で取り付きの偵察。c沢出会いからはc沢を詰めるのではなく、d沢側から卷くようにしてc沢とd沢の間の尾根に上がり踏み跡を忠実に辿るようにする。湧き立つガスの中、b・c・dの各ガリーと十字クラックの取り付きを確認。今年は取り付きには雪渓は全くなかった。bガリーとcガリーの間の下の方に少し残っていた程度。

 8/10(金)3:00起床。天気はガスでここのところ雨模様。天候を読むために出発を30分ずらす(4:33発)。一時間先に出ていた木下・安部パーティーが二股で天気の回復を待っているのに追いつく。「午後からはもっと崩れるらしいよ」と言うと彼らは突っ込むことにしたらしい。結局みんなで行くことに。この時点で取り付いているのは我々3パーティーのみ。





 長友(リード)−徳永、原口(リード)−福村のパーティーに分かれて登攀開始(9:57)。cガリーは一番窪んだ所を行くのが簡単らしい。長友−徳永はピンや残置スリングにつられて右のフェース状を辿ったが結構渋かった。
 二ピッチ目の終了点が撤退の時の懸垂下降点を兼ねている(取り付きまで垂直距離45m)。
   三ピッチ目は少し攀ってハングした下を右にトラバースしてブッシュに入る。立木でビレイしてもう一ピッチブッシュを左に攀るとcガリーの大滝の落ち口(水は流れていない)。ここにも懸垂下降点を兼ねた終了点があり、二ピッチ目の終了点の丁度真上にあたり、そこまで垂直距離40m。ガラ場を詰めて横断バンドまで。「cガリー」と赤くペインティングされた大きな岩がある。上流に向かって左手の壁には「↑4オネ」とこれも赤くペイントされており、矢印に従って詰めていくと10分程の登りで四尾根の取り付きに出る。
   ガラ場から少し上がると岩に「4」と書かれ、濡れた凹角がありビレイポイントが設置してある。1ピッチで凹角の左の緩いスラブ状を攀って草付きの道を行くと、尾根上の正式な?取り付きに到着する。反対側を覗き込むとdガリー奥壁が素晴らしい姿を見せていた。ピラミッドフェイスの頭をバックに各自記念写真。


 1P目。快適なコーナークラック。念のためにカムを噛ませる。
 2P目。易しいフェース。ピラミッドフェイスの頭の下を右に卷いて終了。
 3P目。「白い岩」と呼ばれているクラックの沢山走った白っぽいフェース。ルート図には「クラック」とあったので、徳永さん曰く「どこがクラックだ。フェースじゃないの」。後で新しいルート図を見ると確かに「フェース」になっていた。
 4P目。リッジを辿る。5P目。Vの3mの垂壁。スタンスが微妙だがピンは効いてるしテラスからすぐなので高度感もない。一番上のピンが全く効いていないので徳永さんが手で引っ張って抜いておいた(一寸の力で抜ける、ということ)。更にリッジを辿りマッチ箱の懸垂下降地点へ。松井さん(九大山岳会)も指摘していたようにここからマッチ箱のコルに降りるのは不安定なので上部フランケ側に懸垂。丁度安定したビレーポイントに着く(11:50発)。
 そこから傾斜の緩いワイドクラックを1P登って正規ルートに戻る。


 6P目。ここはリッジから左の凹角だが(原口−福村パーティーは正規ルートを辿った)、長友−徳永パーティーはピンもあって面白そうなのでリッジ通しに枯れ木テラスまで。ホールドが細かくて少し緊張した。
 7P目。リッジを登り込み終了。もう一ピッチ緩い斜面を登って安定した場所に出た。
 全員揃ったところで(13:00)草付きの立派な踏み跡を辿って山頂へ。
山頂にて 左から、徳永、長友、福村、原口

肩の小屋を経て(14:20)草すべり経由で白根御池小屋へ戻る(15:50)。木下・阿部は既に下山していた。原口さん念願の四尾根登攀記念に徳永さんが嗜好品のオールドパーを供出。疲れが取れる。

 8/11(土)3:00起床。ガスが湧いていて天気は相変わらずよくない。とにかくみんなで取り付きへ(4:20発〜6:10着)。原口さんは昨日の疲れからここから引き返すことに予定していた。
 長友、福村、徳永パーティーで十字クラックへ(6:40)。1P目。VI-の凹角から。長友はリーチを伸ばしてクラックにハンドジャムを決めて越す。十字クラックの下の棒の部分もピンがなくカムを決めて攀る。フィストジャムが良く効く快適なフリーだったが丁度いいサイズのカムがなかったのでチョックストーンにスリングを通してランナーをとって切り抜けたりとかなり緊張した。



福村さんがフォローしてきたが出だしの凹角は身長がないと厳しく、A0するも越せず降りることに。徳永さんはA0で何とか越してきた。以下、パーティーは長友−徳永の二名に。後続のパーティーがピラミッドフェイスに取り付き始めた。
 2P目。十字の縦棒の上の部分に当たる広めのクラック。ここにもピンがないのでカムを噛ませる。少し登るとトラバースだが濡れて悪い。ここまでは渋く微妙だったがVIのハング自体は大したこともなく、壁と逆の方を向いて難なく越せた。抜けた所には石が堆積していて落石の危険が大きかった。貧弱なハーケンしかなかったのでカムでもアンカーを取ってビレイ(7:50〜8:26、徳永さん終了8:47)。
 3P目。逆層のスラブ。ピッチ中、ピンが一本しかなかった上にピンを打とうにも適当なリスも見当たらずひどいランナウトにかなり緊張した。cガリーの横断バンドで下部終了。技術的には1P目が、精神的には3P目が厳しかった。ガスが湧いていたのでそこから行くか引き返すか思案したが、結局「行こう」ということに。
 横断バンドのブッシュを辿り尾根を越えるとピラミッドフェイスの4P目の終了点の手前は崩壊の進んだトラバースだった。上をハングに押さえられ下は大きな浮き石がざらつく土砂の上に乗っている。三カ所ほどランナーがあったので行きかけたが、雨がぱらつくので「止めましょうか」と戻ってしまった。しかし雨は降ったり止んだりでエスケープはこれも松井さんの忠告で要所要所でバンド伝いにすぐ横の四尾根に逃げられることもあって、とにかく行けるところまで行くことにした。
 開始はピラミッドフェイスの5P目のハングの間の小径から。こんな抜け道があるとは・・・という感じの草付き。
 6P目。Vのクラックとフェース。このルートの二つある核心の一つ。カムをセットしながら濡れた逆層のスタンスを何とか使って切り抜ける。
 7P目。クラックからフェースを直上。「足(スタンス)がないじゃない」と徳永さんが叫んでいた。
 このピッチを攀ったところで雨足も強くなってきたので撤退することに。半ピッチ懸垂して草付きを四尾根へ。そこのテラスから一寸登ったところに下降点があったので懸垂でブッシュを少し降りて立派な横断バンドに。cガリーに出て、前日確認しておいたcガリー大滝の落ち口の下降点にスリングを足して40mの懸垂下降。更にcガリー2P目の下降点でも念のためスリングを足して45mの懸垂下降で取り付きへ。雨の中、四時頃テントへ戻る。池田祐司(九大山岳会)が夕方4時過ぎ入山してきた。

 8/12(日)dガリー→下部フランケ→dガリー奥壁の予定だったが、天気が悪いので尾根道を通って下山。原口・徳永は帰福のため、福村は南アルプス縦走のため、広河原から7:20のバスに乗って下っていった。池田・長友は甲斐駒ヶ岳へ移動のため、反対の北沢峠行きの9:00のバスに乗る。北岳は天候不順で予定通りとはいかなかったがまあまあの成果だった。




甲斐駒ヶ岳

 広河原からバスで25分で北沢峠。ザックにヘルメットを付けた二人パーティーが入山していた。我々はゆっくりと食事を作って出発。それにしてもギアが重い。




駒津峰などを経て最後の急登にあえぎながら山頂へ。信仰の山だけあって山頂にも黒戸尾根側の山中にも至る所にさまざまな神仏が祭られている。ガスが出て雨が降り始める。それから黒戸尾根を下って八合目の岩屋そばの幕営地へ。岩屋は縦走路を下って右手の踏み跡を少し行くとある。デポがしてあった。ここまで来るのにコースタイムよりも時間を食ってしまった。




水場は岩屋を過ぎて草付きを下った往復30分程の奥壁右ルンゼ。初日は滝になっていたが日毎に水流が弱まった。北沢峠で見た二人は隣のテントだった。茨城から来たとのこと。

ベースより北岳方向を望む





 8/13(月)ゆっくり起きて赤石沢奥壁Aフランケ・赤蜘蛛ルートに取り付くことにした。岩屋の前の踏み跡を真っ直ぐに下り取り付きまで1時間程の下降。取り付きに到着すると順番待ちがすごい。テラスに年輩の人や軍手をヘルメットに付けた女性などを含めた8人ほどが溜まっている。列の最後尾にいた例の茨城パーティーに「あなた達でおそらく6パーティー目だよ」と言われた。そこであっさりAフランケ・同志会左フェースルート(5級下)に転進。






 赤蜘蛛ルートの取り付きから草付きの踏み跡を辿り、適当なビレイポイントを探した。8:40登攀開始。並行ボルトがあったのでそこから少しトラバースして取り付くと1P目(スラブらしい)の最終部に合流した。松の木テラス(顕著なテラスではなかった)でピッチを切らずに2P目のバンドを左上する。バランスが微妙だったが欲しいところにカチホールドがあった(池田リード。以下、括弧内はリード者)。





 3P目はA1で直上しては悪いフリーでトラバース、の繰り返し。最後のピナクルテラスへの草付きが落ちていた。プロテクションも見当たらずしばし熟慮の末、フレークにスリングを掛け覚悟を決めて緊張しながら厳しいハンドトラバースをしていると、トラバース開始点の上の方にリスに隠れて古いハーケンが。戻ってリスを直上し逆層のフレークにカムを噛ませてランナーを取ってアンダークリングでトラバース。ルート中最も厳しかった(長友)。





 4P目。テラスからアブミの掛け替えでハング越え(池田)。










 5P目。ボルトラダーをA1で枯れ木テラスへ、更に草付きを辿ってクラックの下へ(長友)。
 6P目。VI-とVの共に8mのクラック。前者は足もスメアで厳しくボルトも2本だけ。しかしカムを噛ませる余裕はなかなかない。後者はかなり快適でカムもよく効く。池田は前者をアブミで、後者はフレンズをセットしながらフリーでリードした(池田)。

 7P目。スラブからA字ハングの見応えのある4mルーフをピトンにアブミを掛け替えてトラバースして抜ける。




高度感抜群の空中散歩。ただしピトンを信用していないとかなり恐い。ピトンはいつかは抜けるはずだから、ある意味ロシアンルーレットのようなことをしているのかもしれない。長友は抜け口のピンを一つ見落としたためハングの抜けが厳しいフリーになってしまった(長友)。





 7〜8P目。スラブと垂壁の2P分を一気に稼いだがロープの流れが悪かった(池田)。
 6時間半で抜けた。終了と同時に雨。テントまで草付きを登り返す。ちなみに赤蜘蛛ルートの後続パーティーは夜遅くに我々のテントの脇を戻ってきていた。最後の茨城パーティーに至っては渋滞のためその日のうちに抜けられず、大テラスでの雨のビバークの末翌日のお昼過ぎに帰ってきていた。「寒いから一晩中体操していた」と冗談混じりで語っていた。他にもオールフリーのスーパー赤蜘蛛ルート(5.11b〜cがある)を攀ろうとやってきた青年達などが幕営していた。パタゴニアのセロ・トーレも予定しているらしい。ここ甲斐駒は他のゲレンデと比べてやってくる人のレベルが違うようだ。






 8/14(火)晴沈。雲海の上に北岳、富士山、八ケ岳、北アルプスなどが望まれる。素晴らしい虹もかかった。昨夜の雨で濡れた装備を乾かす。やはり午後にはガスが出てきて雨。茨城のパーティーにウイスキーを戴く。

 8/15(水)Aフランケ・赤蜘蛛ルート。ルート図には4級上とあるが、6ピッチ目のピンが抜かれてからは少しグレードが上がっていると思う。この日は昼から天気が崩れるとのことだったので早めに取り付く。

取り付き



5:55登攀開始。赤蜘蛛ルートは我々だけだった。左の壁ではアメリカンエイドのパーティーが既に高い所に取り付いていた。おそらくビバークしていたのだろう。





 1P目。アブミの掛け替え。昨日のルートもそうだったがピンが非常に遠い(長友)。
 2P目。Vの快適な、しかしフットホールドに乏しいディエードル(池田)。





 3P目。更にディエードルのクラックを登りV字ハングの下に(長友)。





 4P目。ハングを左にアブミトラバースしてもう一つハング状を乗り越し傾斜の落ちたフェースから大テラスへ(池田)。















 5P目。立木を使って凹角を越えディエードル(長友)。





 6P目。今日の核心の35mの垂直の狭いクラック。




以前はアルミサッシやアイスハーケンやゼットピトン連打でアブミの掛け替えだったらしいが、現在は部分的に残置が抜かれ、5ポイントと1ポイント程のカムナッツ類の使用を余儀なくされている。




フレンズの#0.5、#1、#1.5あたりを2つずつ用意していくのが無難。池田は上手にフレンズ、キャメロット、ナッツをセットしてA1で越えていった。




ただしセットと回収で思った以上に時間をとった。先行パーティーにみんなこの調子で登られたのでは、一昨日の最後尾の茨城パーティーがビバークになってしまったのも当然のことだった(池田)。
 7P目。恐竜カンテを回り込んでアブミで直上。




ときどきガスが切れて高度感は抜群。途中の立木を使って登るが枯れかけていたようだ。いずれは抜ける運命か(長友)。
 8P目。フェース(池田)。5時間半で抜けた。終了から岩混じりのブッシュの中を50mロープを一杯に引いて岩屋に到達。山岳同志会のデポザックが3つ、ウサギか何かの楕円の糞が沢山あった。
 テントに戻ると縦走していた福村さんの書き置きがあった。「長友さん池田さんおつかれ様です。食料が残り少ないので仙水小屋にデポして空身で遊びに来ました。では・・・福岡で。スパゲティー、ピザ、焼き肉、コロッケが食べたい。8/15 8:35 福村」とあった。しばらくすると雨模様。例の青年は昨日奥壁左ルンゼを登ったらしいがルート状況を尋ねると「シャワークライムだった」とのこと。「上部は崩壊が激しいしピンが抜けているところもありますよ」との言葉に士気が挫けそうになる。明日は奥壁は我々だけで、彼らを含めてスーパー赤蜘蛛に2パーティーが取り付く予定。茨城のパーティーと東京から来たパーティーはどちらも奥壁の中央稜(3級)を登ってきた。茨城パーティーは「明日下山します」とのこと。

 8/16(木)奥壁・左ルンゼルート(5級下)。この日も午後からの雨を避けて早めに八丈バンドを下って取り付く。5:40登攀開始。
 1P目。フリーとA1混じりでフェースを攀る(池田)。





 2P目。ルンゼへトラバースして第二バンドへ(長友)。
 3P目。ここからが核心部らしい。フェースを上がり込むのに苦労し、ハングを卷くのも濡れていて厳しい。池田が「行きましょうか、引き返しましょうか」と弱気になったのも無理はない(池田)。
 4P目。流水溝へのトラバース。濡れていてとても悪い。カムを使ってA0に頼った。垂直の流水溝も登りにくく、抜け口では狭くて濡れた内面登攀になったのでザックをぶら下げてチョックストーンにカムを決めようとしたら浮き石で、落石を伴いながらグラッと揺れて落ちてきそうになった。ザックは引っかかりロープは屈曲して流れず足も濡れてずるずると滑り始め、最後のランナーも3〜4mは下のぐらぐらしているピンだったので、さすがに「うお〜っ」と声を挙げてしまった。結局横の方にハーケンを打って逃げた。このピッチが今までで一番厳しかったように思う(長友)。





 5P目。快適なクラック。足を交互に割れ目にねじ込んで登る。これは痛い。ただしピンがないため、カムを幾つか決めながら行く(池田)。
 6P目。これもピンの全くない溝。カムは重宝した。二・七バンドで終了(長友)。
 7P目。初登はチョックストーンのあるチムニーだったらしいが既に草付きに変わっている。難しいフェースの直上の後、ルンゼは右と左に分かれている。右にはピンがないので左に続いているピンに騙されて池田が左に行ってしまったが直ぐにルートが途切れていた。




ランナーの取れない厳しいトラバースの後に懸垂下降のピンを見つけて一度降りてきた。過去に間違えて登ったパーティーも同じように降りてきたものと思われた。始めに戻って正しいルートをトレース。チムニー横のピンがほとんどないクラックを攀る。ルートファインディングが難しいピッチだった。ビレイピンも既に吹っ飛んでいてなかったのでハーケンを打つ(池田)。
 8P目。ガラ場を第三バンドを越えて40mほど登っていく(長友)。
 9P目。チョックストーンの挟まった風化したルンゼ。ぼろぼろで触ると崩れるホールドだらけでおまけにランニングピンは皆無(池田)。
 10P目。バンド状スラブを中央稜にトラバースして急峻な草付きを上がる(長友)。
 壁の中はガスが濃かったがいつの間にか予想に反して夏山らしい晴天に。遠く地蔵のオベリスク、近くには摩利支天峰を望みながら安定した踏み跡まで都合7時間で抜けた。池田が「嗜好品」と言ってザックから取り出したのは何と桃の缶詰。驚きと感激とで涙が滲んだ。更に草付きを登っていったが踏み跡を間違えたのか最後にピンの打ってある短いけれど渋い壁に阻まれる。スニーカー履きのままスリングでA0して稜線に。

 八合目まで下ると撤収。4時から黒戸尾根を下り始める。とにかく長い。途中、黒戸山を過ぎた辺りの白樺の林の道やかなり下った所にある笹の生い茂る道がとても素敵な雰囲気で疲れを癒してくれた。9時頃にヘッドランプの明かりを頼りに横手まで。駒ヶ岳神社でタクシーを呼んで小淵沢駅へ向かい特急で松本へ。コインシャワー(24時間営業。松本駅から左の道を行き、最初の信号で左に曲がり19号線に沿って陸橋をくぐり最初の信号を右折すると左手にある)で山旅の垢を落としビール片手に夜行に乗った。

 天気は良くはなかったが予定通り消化できた。特に奥壁左ルンゼは我々の今までのアルパインクライミングの中でも一番厳しく一皮剥けた感じだった。今まではフレンズ等を使うことは希だったが、今回はカムナッツ類が大活躍、というよりも、それらがないと攀れなかった。ナチュラルプロテクションの習熟がこれからの課題として残った。





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