[韓国旅行5]雨の釜山駅(平成18年7月)
望月浩平
1. アジサイ
今年は4月に突然3年生の担任に選ばれ、去年より忙しく夏休みはほとんど取れないはずだった。多忙は無業よりましかもしれないが、前回の3年生担任時同様に体調が悪化し病院通いをしても仕方ない。ただ今回は2回目なので、経験を生かし少しく仕事を合理化(手抜き)し、3年生担任の付随業務とも言える大学進学講習と個人懇談を7月早々から始める工夫から始めたが、さらに8/1,2,3の大阪開催の高校総体(インターハイ)サッカー競技運営役員(業務は1冊1000円のプログラム販売と交通案内など)という新たな任務も過去の経緯と人手不足で依頼され、8/7,8,9,10は美術部の合宿が昨年同様に長野県開田高原で実施。さらに7月下旬にサッカー部の夏期合宿も例年通りあれば全く時間がないはずだった。ところがサッカー部合宿は日程が合わず中止。その代わりに7/21,22の滋賀県日帰り遠征(2日間大津市往復)に落ち着いた。結局、7/24と28には懇談予定が入ったが、様々な幸運に恵まれ7/25,26,27と日程が空いた。日程が業務で並べば、その一部に休日が入っても目立たない。今年は休日出勤も増え、夏期特別休暇(5日間)も消化できるかわからず、やっぱり忙しいのかとも思うが、忙しいからこそ休むために努力すると言い換えよう。といっても何処かに無理が生じる懸念を感じないわけではない。それは8月の盆過ぎに現実化するがまた別の話。ともかく仕事に限れば8月の高校総体も美術部合宿も無事終了。9月の大阪総体サッカー公式戦は久しぶりに4回戦進出と、よい結果が出たと考えよう。 7月5日家族3人でいつものHIS川西営業所に行くと、ビル2階から1階に移動し狭いが少し便利になる。3月の旅行担当の田中氏が出てこちらを覚えていた。早速条件を告げ検索してもらうと、アシアナ航空は満席、大韓航空は前回と同じ34000円、日本航空は28000円、航空会社未定で26000円という状況で韓国5回目にして初めてJAL使用に決定。ただ6/29の株主総会翌日の7/1に巨額公募増資を発表し、株価下落(\300→約\200)を招いた経営姿勢(日本経済新聞2006.10.13)はさておき、往路JL967便の関西空港9:15発が気になるが、日生中央5:12の始発電車に乗れば何とかなると楽観的に考え即決。前回より燃料サーチャージが上昇し、4人で146880円なので総額的には安くはない(昨年168620)が、滞在時間が延びる点を考えれば十分値打ちがある。ただ問題は2時間前の集合時間に関西空港に到達可能かで、早速ネットの時刻表で調べると、大阪駅以降の接続がJRでも南海電鉄でも悪い。JRではまず西九条で紀勢線直通の紀伊田辺行き快速に乗換え、関西空港線連絡駅の日根野で更に普通に乗り換えて関西空港到着は7:40過ぎ。新今宮乗換えの南海本線でも、泉佐野での空港線接続が悪く同様。そこで従来未利用の大阪駅発のリムジンバスを検討。阪急梅田駅1階、新阪急ホテル脇から6:20発の便に乗れば関西空港まで50分で到着。時間的には一番速いようだがその実態は如何?乗り場はどこで、切符はどこで買い、料金はいくらか?座席はあるのか?交通渋滞は?と初めてだとわからないことが多い。 ということで7月17日、梅田の阪急百貨店に出かけた折に、今回も同行の妻の母と新阪急ホテル脇のバス乗り場を下見。阪急百貨店は小林一三による創業時、かつての阪急梅田駅の上にターミナルデパートとして建設。その際旧梅田駅の線路のあった吹き抜け部分まで売場を拡張すべく改装中。吹き抜け部分を通りステンドグラスを見上げる度に昭和モダニズムを感じたものだった。当日朝に母が来る地下鉄東梅田からの通路は改装工事で以前と違う点があるが問題なく集合可能。乗り場は空港バスの伊丹空港と関西空港行きと日生ニュータウン終着便もある深夜急行バスだけが発着。係員は荷物と発着だけを担当し、切符は待合室の外の自販機で購入し関西空港まで1300円。心配な妻は係員から朝の状況を聞く。それによると朝の便の乗客は多く、事前にチケットをチケット屋等で購入すれば、すぐ列に並べて便利らしい。係員がチケット屋の言及をすべきかどうかは疑問だが、確かに事前購入なら当日までにバス会社に入金が完了し、結果的に乗客を逃がさないことになるのかもしれない。バスに乗れなくても大阪駅は近いし変更もできる。ただバスは阪神側のハービスが始発。阪急側からすぐ高速に入るので空港までの所要時間はかからない長所はあるが、ハービスで満員だと乗車できない懸念もある。でも早朝の便でそこまで心配しても仕方がない。 続いて7月21日、滋賀県大津市大津高校にて大津高校と膳所高校との練習試合で「出張」。ついでにいつもの北新地近くのチケット屋で、往きの空港バス1200円(定価1300)、帰りのJR関西空港⇔大阪1080円(同1160)に大阪⇔川西池田190円(同320)の回数券を購入。22日は大津市の石山高校、23日は池田市の池田高校と仕事が続く。 前日7月24日からの5日間は勤続20年のリフレッシュ休暇だが、個人懇談で「出勤」。帰りにたまに授業で資料に使う自分の韓国ウォン紙幣と硬貨を回収し旅行用に確保。HISに行くと田中氏が関西空港での航空券引換証が着いたか確認し、妻と佑滋の旅行傷害保険5460円を購入。その後、紀伊国屋書店で『絵でわかる台湾語会話』を購入。帰りに能勢電鉄の妙見口行きに乗って読むと、見慣れぬ景色に気がつき下車。乗換駅の山下を過ぎ次の笹部まで来ていた。駅の向い斜面にはアジサイが咲く。今年は梅雨明けが遅く空は曇天で、その分アジサイが映える。帰宅後旅行準備。天候不順による夏カゼで夜は咳き込み眠れず。佑滋も蒲団で夜尿し深夜に洗濯機を回す。
2. 始発電車
7月25日は4時から出発準備。佑滋は寝ていて体重17kgを超えると担いで運ぶのは大変でベビーカー使用を決定。4:30にヴィヴィオで美山台へ降りていく。車は丸山台に戻すが、"engine check"のサインが点灯。運転に支障なく帰国後に考えることにしてスクーターで折り返し4:45美山台へ。近所にはムクゲの花の咲く季節。朝が早すぎ実家で朝食はできないが、母が3時から起きて作ってくれたおにぎりをもらい、4:50に父が日生中央駅まで送ってくれる。駅ではちょうどシャッターが開く。ここに住みだして15年、美山台に居住時には箕面まで通勤し、始発電車にも何回か乗ったがこの光景は初めて。駅にはエレベーターが設置され、ベビーカーを降ろすのが楽になった。始発電車は5:12発の山下行きで5:15山下着。山下でもエレベーターも使えるが階段を使用し向いの4号線へ。エレベーターは大きなスーツケースを持った2人連れが使用。妻は乗っても間に合うのにと言う。5:18発妙見口からの始発電車に接続。明るくなった5:34に 川西能勢口到着。阪急宝塚線の梅田方面は4:27が始発で、折り返し梅田を5時過ぎに出る始発電車になるが、能勢電鉄はこの電車が5:37発始発電車で妙見口へ折り返す。その後で隣の3号線に5:38発梅田行き普通到着。急行は5:58から走り出す。ようやく佑滋も目を覚ます。ラッシュ前で席を確保しベビーカーを前に置く。池田・石橋・豊中・曽根と待避線や留置線に電車が泊まる。6:04梅田到着。2階中央改札から大階段脇のエスカレータで1階に降りて新阪急ホテルバスセンターへ。先客は1組だけ。母の分の高速バス切符1300円を自動販売機で購入。間もなく東梅田から母到着。係員にベビーカーを預け半券を受領。佑滋は妻とホテルのトイレに。後ろの列が7,8人になり、6:17に阪神側のハービス大阪発の関西空港行きリムジンバス到着。乗客は数名。係員はトランクに荷物を入れる。乗車券は運転手に渡す。先頭左側に佑滋と着席。妻と母は後ろに並んで座る。20名程で6:20定刻に関西空港へ出発。バスは大阪駅北側のヨドバシカメラ前からJR貨物・梅田駅方向へ進む。先にある踏切を関西空港行き特急「はるか」が横切る。「はるか」は新大阪から貨物線に入り大阪は通過。野田から大阪環状線に入り次の停車駅は西九条。バスとどちらが速いか興味がある。バスは踏切に向かわず梅田入口から阪神高速へ。中之島から本町へ、環状線から湾岸線に入り天保山から赤い鉄橋の港大橋。自分で運転すると前方確認に終始するが、座席が高いリムジンバスでは障壁の向こうまでよく見える。九州行きサンフラワーが停泊するフェリーターミナルの先で、住之江公園から海に向い東西に走るニュートラムが見える。南側には港南造形高校。浜寺公園からすぐ南に高石高校。サッカーの試合に出かけた高校があちこちに見える。といっても10年以上関係しても技術指導は全くできず見る試合は自校だけ。別にサッカー自体が好きになったわけではない。岸和田城と市街地は海側から見下し、南海本線蛸地蔵駅とは反対側からの景色を高い所から楽しむ。だんだん目的地が近づき、泉佐野からの連絡橋も鉄道線の上で視界が広がる。無停車は速く50分の予定時間が、実際には40分で関西空港4階に7:04到着。関西空港では、鉄道駅に着くとターミナルビル2階に移動し4階に登る手間がかかるが、バスだと荷物を受け取ればすぐ4階国際線搭乗口。まず北側HISカウンターで航空券を受領し、南側Eカウンターへ進む。早朝で混雑はないが、佑滋は機内持ち込み禁止の刃物や花火の掲示に興味を示す。JALはさすがに行列が長いが、4人だと言うと人の少ない方に誘導され、ベビーカーは搭乗口預けで30番ゲート8:45と指示。保安検査は空いていてお茶を入れたペットボトルは荷物から出して機械を通して確認。この後ロンドンの事件でペットボトルは持ち込み禁止になる。出国審査も開いているブースは1つだけだが行列なし。南側シャトル出発口前の免税店前に7:30到着。店のシャッターが開き始めるが、HISカウンターでもらったAAS(朝日エアポートサービス)免税店割引券も恒例のキッズルームも使う機会なし。正面は空港会社直営免税店。シャトル寄りAAS免税店との通路で空港会社免税店の朝礼。朝食は美山台のおにぎりにヨーグルト。だんだん賑やかになってきて、8:30南側シャトルに乗ってゲートに向かう。この前JAL国際線に乗ったのは1997年のハワイ・マウイ島だったので9年ぶり。あの時はJALが搭乗する飛行機を間違え旅行会社に連絡し、指示された「予定」時刻の2時間半前に空港に余裕で着いたら、実は「実際に乗る航空機」の搭乗最終時刻で急に慌しくなり、ギリギリ間に合ったものの、その後の海外行先がマニラから韓国・台湾へ変わる1つの契機になった。でもなぜハワイがダメならマニラなのかちょっと説明は難しい。1度だけのフィリピンだが忘れ難い印象が残る。8:45にベビーカーを預け機内に入る。機体はB767-300で一列7人の座席に6人以上が並んで座りほぼ満員。行列の後ろにいたので朝刊を取り損ねる。佑滋が隣の席に座ると早速イヤホーンのビニールを外し耳につける。音楽を聴くのではないがやらずにはいられない意欲を示す。3歳でも大人料金を払っているので気兼ねなし。他にも機内注意事項の指示など見るべきものはある。おもちゃは小さなマスコットを1つ選ぶ。遅れた乗客がいて9:20離陸。機内食はパンにお寿司のセット。お茶とつまみは妻に渡す。機内食は国内線並と聞いて期待していなかったのでまあ満足。大人はビールで食後にコーヒー。ビールは主要4社の銘柄とプレミアムが揃う。日頃は発泡酒だが今日はエビス。佑滋のチャイルドミールは軽食なので「なし」。大人と同じ機内食の稲荷・アナゴ・エビ寿司のネタ部分とクロワッサンを食べ、オレンジがないのでアップルジュースをもらう。一度通路の向こうの妻と母の席に行っただけで動き回らないのはとてもよいが、少し疲れ気味。10:20過ぎ、着陸態勢の機内放送が入ると進行方向下に、細長い対馬の北端が近づく。機体が北に方向を変えると朝鮮半島が見えてくる。これは周知の事実だが、実際に「国境の島」と「近くて遠い国」を見ると感慨がある。洛東江河口付近は水が濁り、先日の豪雨の影響を物語る。高度を落とし10:30今回は南から北へ金海国際空港に着陸。今まで空港所在地は慶尚南道金海市だと記述したが、これは誤りで実際には釜山広域市江西区にある。ネットの『釜山でお昼を』によると昭和19年に作られた航空基地が釜山海軍航空隊として昭和20年2月11日に開設され、終戦後釜山西飛行場になるが、1976年8月1日金海国際空港として開港。それまでは日本陸軍が作った海雲台陸軍飛行場を米軍が拠点飛行場として整備し釜山東飛行場と記載。1958年8月30日から釜山水営飛行場と名称変更。1963年から国際空港となったが、移転後は1988年のオリンピックを機会に公園や道路として整備され現在は釜山市立美術館や大規模展示場のあるセンタムシティになっている。客を運ぶバスの集結地点で機体停止。バスでターミナルビルへ移動し、入国審査では韓国人用ブースを外国人(日本人)にも開放しスムーズに入国。今回から「旅行者携帯品申告書」提出。様式は米国入国書類に類似しているが韓国語・英語・日本語の三ヶ国語表記で1つ言語を選び一家族につき1通作成。ベビーカー受領で少し遅れた妻がターミナルへ出るところで書類未提出を誰何される。出たところには釜山銀行と新韓銀行が並ぶ。今までは朝興銀行だったが合併で新韓銀行に名称変更。同じく『釜山でお昼を』によると、朝興銀行は1897年設立の漢城銀行以来の歴史をもち韓国国内最古だが、その名前が消えると少し寂しいものもある。新興勢力の新韓銀行は新韓金融グループの中核会社で「総資産で韓国第2位の金融グループ」(日本経済新聞2006.8.16)。同じ記事で「国内最王手のクレジットカード会社、LGカードを買収する見通しとなった」と報道。新韓銀行の窓口で4万円とネットの「プサンナビ」のクーポンを出すと両替手数料30%割引で、3万円分と1万円分のウォンが入った2つの封筒と手数料割引分のW2000とプサンナビの地図をもらう。地図は昨年と同じで銀行名は朝興銀行のまま。今回は\1000=W792のレートでウォン高が進みW10→\1.2という感覚。佑滋と妻と母がトイレに行く間に前回の残りの小銭を日本円硬貨と取替え、3万円分のウォン紙幣W237,600を財布に入れ1万円分を母に渡す。前回2005年7月の『夏の海雲台』によると「30,000円が1円=8.97W(ウォン)のレートで269,100W」で11.7%目減り。記念写真を撮影しようとするが、最近佑滋は撮影を嫌がるのでうまく撮れず。ターミナルビルから階段を降りてバス乗り場へ。
3. 江西区庁から温泉場へ
金海は国際空港としては台北(桃園)と違い規模が小さい。バスはターミナルビル端の国際線搭乗口で乗客を降ろすとビル正面を進み、もう一方の端の入国側で停車。方向別の乗り場は停車全停留所が表示されわかりやすい。ただ少し待ち時間が増えた気がする。地下鉄3号線開通の影響か?以前は「海雲台」まで行った307番座席バスは、途中の「東莱地下鉄駅」が終着になり、路線短縮だが運行本数も減少か?日本人団体はツアーバスへ向かうがこちらは風の強いターミナルビルで待つ。釜山大学に縁のある高校時代の恩師の体験談によると、この空港は気象条件が悪く、濃霧で着陸できず関空へ引き返すこともあるらしい。今まで4回、一度もそういう目に遭わないのは単なる幸運なのだろうか?11:20バス到着。座席バス料金はW1500で3人分W4500を投入して乗車。ベビーカーは荷物置場に。次の国内線ターミナルでしばらく停車。11:35出発し亀浦方面に北上すると地下鉄3号線の高架線が見える。地下鉄への接続停留所は「プサンナビ」によると「江西区庁」だが、路線図を調べその次の「江西区庁地下鉄駅」で降りる予定に変更し進行方向を凝視。「江西区庁」正面に駅が建ち、どちらで降りても間違わず行けるが、「江西区庁地下鉄駅」だと歩く距離が短い。11:50到着。長いエスカレータで切符売場の階へ。今回は地下鉄・市内バスが共通で利用できる先払いで割引付きのICカード「ハナロカード(「ハナロ」は「1回で」という意味)」を購入予定でカード購入・チャージ機を探す。英語の説明ボタンを押し説明を読む。カード代にまずW2000必要だがW10000札は受け付けず、後ろの両替機でまずW1000札にくずす。W2000入れるとカードが落ちる。今度はカードを所定の位置におきW10000札を機械に入れるとチャージ完了。大人3人分で3回同じ所作を繰り返す。チャージはW5000から可能だが途中不足を避けるために余裕をみる。 釜山地下鉄は右側通行で方向別改札。「亀浦・水営」方面を確認後、財布に入れたままでもカードをセンサーに当てればバーが回る。地下鉄料金は前回の『夏の海雲台』では10kmまでが1区間W900でそれ以上が2区間W1000だったが、1区間W1100(990)、2区間W1300(1170)に値上がり。( )はハナロカードを使用時で1割引。エスカレータでホームに上がる。音がしたので列車接近かと慌てるが反対方向だった。ホ−ムに時刻表はないが、ホームドアになっていて到着時にドアが開く。3号線は茶色い帯の4両編成。12時に乗車すると間もなく黄色く濁った洛東江を渡る。車内放送は自動で韓国語と英語。北に曲がると国鉄京釜線乗換えの「亀浦」、そこから地下に入り、「徳川」で2号線西面方面乗換え。以前はバスで長い道路トンネルを通った「万徳」で金井山を越え、ワールドカップサッカー会場だった「総合運動場」を過ぎ1号線乗換えの「蓮山洞」下車12:25。車両は6月開業だけあって最新式、次駅を示すモニターが広告と一体化して天井から下がり、網棚等はなし。モニターはJR西日本の新型電車と似ている。3号線は東西方向に走り、もう一度2号線・海雲台方面乗換駅の「水営」に向かうが東莱温泉方面は「蓮山洞」で乗換え。1号線へ進み12:35に見慣れたオレンジ帯の1号線「老圃洞」行き乗車。1号線では車内を回る「物売り」が出没。今回は口上を述べ実演後、キュウリの簡単スライサーを1個W1000で販売。買う人がいるが説得されて買うのか何となく買うのかはわからない。北上すると最初が「教大前(教育大学)」、間もなく地上に出て「東莱」が307番バスの終点。3つ目が「明倫洞」で4つ目の「温泉場」下車12:45。北側出口から降りるが1985年開業の1号線はエスカレータがなく、花崗岩の日本より段差のある階段を降りる。駅から道路を隔て西側に完成すると市内最高層(tallest)ビルになる商業施設建設中。直通歩道橋があるがまだ工事中で北側の在来歩道橋を渡る。(11/7に見たネットの「プサンナビ」によると完成しディスカウントストア「ホームプラス温泉場店」が開店)正面の金井山に登るバス乗り場を過ぎ、4度目の「泉一温泉ホテル」へ向かう。知ったつもりの過去の記憶に裏切られ、1本北側の植物園へ入る道へと間違える。近道しようと入った筋は行き止まりでさらに遠回り。奇しくも最初に来た時(2000年8月『釜山と慶州』)に入った裏口から「泉一温泉ホテル」到着13:00。日本語が話せるフロント男性が、子供も人数に入れW54000だと言うが、妻が前回はW47000だと交渉すると、OKになり2泊W94000で決着しカード支払い。帰国後の明細書によると¥11756。今回はオンドルの518号室。窓からは金井山のロープウエーと温泉第一教会が見える。JALのお茶と母のヨーグルトで一休み。寝具が1セット不足し管理人室に向かうが不在。13:50先に妻と昼食場所の下見。温泉地なので飲食店は多く、名物のフェ(生魚の膾・要するに刺身だが、韓国人は生け簀から取り出しさばきたての白身魚を好み、臭みのある青身の魚は好まない)とコムヂャンオ(メクラウナギ)の他に、カルビ、キンパプ(海苔巻き)、デジクッパプ(ご飯に豚肉スープをかけたもの)、マンドゥ(餃子)、カルククス(手打ち煮込みうどん)などがあるが、佑滋が食べられる辛くないものを探すと選択肢は難しい。コンククス(豆乳入り冷やしうどん)の店に入る予定にしてホテルに戻る。ホテル5階の管理人のおばさんに蒲団が1セット足りないと下手な韓国語で言う。去年はすぐに用意してくれたが、今年は訛りの強い慶尚道方言で言い返される。内線電話機を上げて何か言うので1階フロントにもう1回頼むと、途中から日本語がわかる人になり、電話の指示で蒲団が部屋に到着して一安心。それから食事に出発し、佑滋にはコンククス3500、母にはテンジャンチゲ(煮込み味噌汁)4000、自分はヘジャンクク4500を注文。直火にかけた黒い容器でたぎるテンジャンチゲは煮干しとアサリでだしをとる。ヘジャンククは一回り容器が大きい。豚の骨入りで肉をほじって食べる。2001年3月(『扶余の春』)に温泉場で食べたものが忘れ難い。移ろいの速い韓国だが、あの店はどこへ行ったのか?妻がもう少し食べたいということでサンパプ定食(野菜にご飯を包んで食べる)6500を追加注文。魚が2尾つき、肉も茹であげて辛くなく佑滋にも食べられる。付け出しのキムチとご飯をサンチェに包んで15:00までしっかり食べる。総額はW18500だが領収書を請求しなかったので内訳と店名が不明で残念。次は東莱のメガマーケットに買物に行く予定にして、タクシーをつかまえる。基本料金は最初の2kmまでW1800(1500)で、その後160(172)mあるいは41(42)秒毎にW100加算。( )内は昨年夏の料金なのでこれも値上がり。地下鉄東莱駅近くで渋滞し左折に時間がかかる。以前の307番空港バス停留所だった「大同病院前」を過ぎて15:20到着しW2800。昨年はW2300だったのでW500値上がり。ガソリン代が日本並みなら、原油高でタクシーも大変だろう。買物は15:30〜16:30。背中の荷物をロッカーに入れるよう売場入口で指摘され、空きロッカー(保証金W100)探しに一苦労。買物はお土産用にゴマ油W980×5、これはW980均一コーナーでも買える。10?Bほどの大根を使ったチョンガク(総角で未成年男性を示す)キムチW4400×2、ポギ(株)キムチW4050×2、マッ(白菜)キムチW3700×2、韓国海苔W1800×13、上等韓国海苔W2950×2。ここのW1800の海苔には定評がある。でも簡易包装で日保ちの問題があり、後で渡すお土産用に上等も購入。帰国後美山台の母もW1800の味を覚えていた。このためにメガマーケットに来たとも言える。夕食用にHite(ハイト)ビール350cc 6本6600、二東サル(米)マッコルリ1200cc,1190、済州三多水(water)1000cc,800、大福餅1000、キンパプ2700、スンデ(腸詰)3135、チヂミ2000、スルメ4800、パン2200+3200、ヨーグルト2700、包装用袋50×2合計W92325をカード支払い。カードのサインは指示された表示板にペン型の器具で字を書くと、販売員のモニターに表示されカード裏面と照合。帰国後の請求書によると¥11415。ヨーグルトは冷蔵だが、酒類は常温販売で冷やす必要がある。佑滋は買物後半から睡眠。帰りのタクシーは泉一温泉ホテルを知らず、代わりにノンシム(農心)ホテル玄関に16:50到着しW2500。歩けば近いので構わない。ホテルに戻ると交代で大浴場へ入浴。妻と母が入浴中少し睡眠。母はW17000で念願の垢すりを1時間経験。19時から夕食。ビールが冷えるのを待ち、最初はアルコール度6.5%のマッコルリ。甘口で飲みやすくすぐ1本空いてしまう。続けてハイトビール。『東アジア「反日」トライアングル』(参考文献2)によるとサッポロビール「黒ラベル」のマスキング商品(p118)らしいがあっさりして飲みやすい。スンデは最初に見たときから気になる食べ物で、少し血の臭みがあるが塩とソースを振って食べる。キンパプはご飯にゴマが振られ酢が入らない。19:30に起きた佑滋にも食べやすい。W1800の海苔も期待通り。これが求める韓国の味と言える。20:30から「おでん」探しに妻と佑滋と3人で外出。生き物好きの佑滋はメクラウナギ、ユムシ、ホヤ、ヒラメ、イシダイ、太刀魚、カニ、エビが泳ぐ料理店の水漕に見飽きない。飲食店は多いが台湾と違って屋台が少なく寂しさが募る。タクシーに乗り近くの釜山大学あたりまで出向けばよかったかもしれない。帰りにコンビニで母の歯ブラシと釜山牛乳を購入し21:20に戻る。大浴場が20:00終了で佑滋は部屋で入浴。浴槽だけでなくトイレにも温泉水が入り、便座が温もり不思議な感覚。22:00過ぎに寝るが夜中に自分と佑滋が咳き込む。夜半から雨が降り出す。